手が触れているのが木造の床だと気づく。

どうやら窓の下の床に座り込み、そのまま寝ていたらしい。

窓の外はもう真っ暗だった。


「あはは、だ、大丈夫です。それで、陸は―――」

「そのことについて話があるんだ。とにかく、下に来て。」


真剣な表情の真郷を見て、千夜は不安を覚える。

それに気がついたのか、真郷は口の端を綺麗に上げて、千夜の頭を撫でる。


「行こう。緋那は騎士団に帰ったし、邪魔者はいないからさ。」


邪魔者と思ってないことを身振り手振りで伝えながら、部屋を出て階段を下りる。

昼間いたリビングには、架凛が1人でいた。


「あら、真郷ったら何がそんなに可笑しいの?」

「いやぁ…あははっ…ちょっ、この子面白くて…身振り手振りで表現とか…あははは!」

「笑い事じゃないですから!もう…で、陸は…?」


手に持っていたお盆で真郷の頭を叩きながら、架凛はとりあえず食べながら話すと言って席へ促した。

昼間と同じように座り、目の前の架凛に視線を向ける。