架凛は僅かに彼に視線を向けた。

架凛も真郷も、現れた男に驚いた様子はない。


「あら…久しぶり、緋那。」

「お前、何でこんな女拾ったんだ?」


千夜の顔は一気に青ざめた。

視線が怖いのではなく、架凛が責められていることに気がついたからである。

架凛は溜め息を吐き、呆れた声で答える。


「私は医者。倒れている人を救うのが仕事なの。」

「ならもういいな。こいつ、元気になったみただぜ。」


ぐいと腕を引っ張られ、千夜はよろけながらベッドから立たされた。

千夜が自分より高い男を見上げると、彼もこちらを見つめていた。

何か言いたげに口を開くのと、真郷が彼のつんつんした茶髪を引っ張らるのは同時だった。


「はい、そこまでー。緋那、女の子には優しくしないとモテないぞ。」

「なっ……!うるせぇぞ兄貴!!やめろ、引っ張んな!!」


緋那は千夜を掴んでいた腕を離し、代わりに真郷の腕を掴んで引き離す。

その隙に架凛が千夜の横に立った。