「ちょうど良かったわ。この子のことで相談があるの。騎士団の貴方にね。」

「騎士団に相談って…まさか犯罪者!?」

「ち、ち、違いますっ!!」

「だよねー。君みたいな子が犯罪を犯してもすぐ顔に出るだろうしねー。」


つまり自分は犯罪を犯したとは顔に書いてないんだと思いながら、千夜は架凛の方を見た。

先程とは違い、真剣な顔つきをしている。


「彼女ね、森で倒れていたの。友達も一緒だったそうだけど、まだ安否は不明。そして彼女、翠鳳国を知らないの。」


真郷の顔から笑顔が消えた。


「それと、彼女の出身は日本国というそうよ。」

「日本国…?知らないな。…まさか―――」

「異世界からの旅人、か?」


その答えを紡いだのは、入り口に立つ新たな人影だった。

千夜が気がついた時、彼はもう部屋へと歩いて来ていた。

真郷と同じ服、違うのは胸のエンブレムとジャケットが半袖であることのみ。

彼と似た綺麗な顔立ちで、千夜に鋭い視線を向けている。