剣道大会の事件は、
小田が悪い。

せやのに、
あのアホは冬休みに
二週間帰省しよった。

ワシは一週間やった…



三学期が始まっても、
小田は帰ってこやん。

学園の生活がしにくいさかい、
そのままトンコや。



トンコ言うたら、
トンズラからきとんやと思う。
逃げるって事やな。



それ以来、
小田は帰ってこやんかったなぁ…



伊吹は、
塗装屋に就職しよった。

スネ夫は進学。

佐藤は、
田舎にある宗教系の
学校に行きよった。


噂ではその学校、
肉喰われへんらしぃ…

可哀想に。



二年生になっても、
野球部を辞めれん…

これは、
どないか考えやなアカン。


…考えても、
辞めれる訳ないわな…

なんせ、
人間少ないんやから。




ワシが二年になってすぐ、
藤が入ってきた。


藤は三年で、
なかなかの男前や。
ワシとは気がおーた。


ある日、
藤が夜中に起こしよった。

「なぁ、タバコいこや!」

「…ないやろ?」

「ツレがきとぉ。」

藤は外に目をやりよった。

そこには、
知らんヤツが窓から覗いとる。

ワシはビックリした。



学園は、
高い金網で囲われとる。

脱走も難しぃのに、
入ってくるとは…


多分、
学園始まって以来やろな。
侵入者わ…



ワシと藤は、
ツレの後ついて歩いた。

気ぃついたら、
学園の外や…


藤のツレは、
タバコやなく
藤を迎えにきたらしぃわ。

藤もワシも、
トンコする気はなかったのに
外に出てもたさかい、
そのまんま逃げる事にした。


トンコを考えた事なかったが、
野球部もイヤやしえぇか…