何日かしたら、
パンだけでは物足りんから
昼間にその店行っては、
飲み物やおにぎりを
パクってた。

ワシの生活も、
なかなか安定してきたな。


ある日いつもの様に
パンを頂いて帰る途中、
公園に仔犬がおった。


ワシは昔から
犬が大好きやったから、
迷わず抱いて連れて帰った。

憧れのペットや!


実は、家出してから
ズッと淋しかった…

友達もおらんし、
1人は淋しかったな。


これからは淋しくない!
犬がおる。

ワシは犬にパンやった。
名前はシロ。
ありふれた名前やけど、
白かったからやろな。

ワシら似た者同士やから、
すぐ仲良くなれた。



こんな生活が、
何ヵ月か続いたある日、
寒くなってきたから
犬と走ってたら…
オヤジに見つかった…


捕まってもた。


家に連れて行かれて
殴られた。

殴ってるオヤジの向こうに、
迷惑そうに見てるママハハ。


オヤジに、
何を言われたかは
覚えてないけど、
スグに風呂入れられた。

汚かったんやろな…


ワシは
暖かい湯につかりながら、考えた…

反省やない。

シロの事と、
いつ逃げるかや。

逃げるなら今しかない!


急いで体拭いた。
逃げ道は、風呂の窓や。

窓の隙間は、
20㎝くらいしかない。

先に服を外に出したもんやから、ヤバい。
絶対にワシが出やなバレてまう。

必死でその隙間から出た。

ポッチャリ体型の
ワシやったけど、
家出のお陰で、
ちょっとスリムになってたみたいや。
その隙間から出れた。


ワシは服持って、
裸のまま逃げた。

公園を横切って、
ワシらの住みかまで
走った。

何より、シロの事が心配や。


シロは、
ワシらの家の前に
座ってた。
待ってたんやな、ワシを。

ワシを見たシロは、
シッポふってた。

ワシ、涙出たわ。

もぉ二度と、
コイツと離れんとこぉと
思った。



又、
ワシらの生活が再スタートした。