「お前ら!
  何しとんや!!」

須磨寮の寮長に見つかった…



この寮長も特殊や。
名前は、
 『ショウケイ』
って言う、
いつも裸足のオッサンや。
緑のジャージに
ハダシがトレードマークや…



丁度、ハラチンが吸うとるとこやった。

ワシはタイミングよく、
犬を触ってた。

傍から見たら、
ハラチンだけが悪くなるわな…


ショウケイは、
ハラチンをドツき回しよった…


犬をハラチンに持たせて、
ハラチンを引きずりながら
鷹取寮に向かいよった。

ワシは早く寮に帰れと
言われた。

 「はいッ!!」

ワシは素直な子を
演じて走り去った。

ハラチンはワシに、
半笑いやった。


ワシは寮に帰るなり、
歯磨き粉を口に入れた。
ツバで少しずつ溶かして
飲み込む。
これが臭いを消す方法やねん。


ハラチンが今、
どぉなっとるか想像はつく。

多分、
ボコボコにいわされとるやろ…

ワシは悪い事をしたなぁ〜…
と、傷む心で夜空を見上げてた…



 「おい〜馬っ!!」

ウチの寮長、
代官さんの呼ぶ声や。


ワシは何もなかった顔で寮長室に行った。

…そこには、
あのショウケイもおった。

ワシは足が震えた…


 「馬、
  なんの事か分かってるな?
  」

 「…ハラチンの事…やな?」

 「そう。
  馬は何をしてとった?」

代官さんはちゃんと話を聞く人や。
モトジやショウケイとは違い、
いきなり手は出さん。

 「…犬の散歩に…
  タバコ吸いにやないで!
  いや、散歩しながら…
  タバコ…いや…」

ワシも自分で、
ワケ分からん様になってきた…

 「原野がー」

と、ショウケイが言いかけよった!

ヤバい!!

こぉ言う時は、
自分から白状して刑を軽くしな!