―――…


卒業式をひかえた、

ちょっと肌寒い夜。


僕は先輩の部屋でくつろいでいた。



漫画を読む先輩を盗み見る。

ちょっと胸がズキンって痛んだ。


漫画じゃなくて、僕を見てよ…


そんなちっちゃいヤキモチ。



「ねーねー、先輩」


「……ん? どうした?」



ただ、呼んでみただけ。


でもそんなの……

僕のキャラじゃないし。




「先輩って眼鏡…似合いそうですよね」




適当に言葉をつむぐ。

"眼鏡"この発想は、先輩が読んでた漫画の主人公が眼鏡をかけていたから。