ガラスのタンポポ#虹

ジーパンの土を払い、駅に向かった。


切符を買い、改札をくぐろうとすると。


「…?」


オレの腕を掴んだ小さな手。


「奏来…?」


“翔ちゃん”


声の出ない奏来の口元が動く。


“行かないで”


走ってきたせいか息が荒く、メモる手が震える。


“花音ちゃんのところへ行くの?”


「奏来、どうして?」


“聖ちゃんに時間をくださいって言ってきたの”


「…時間?」


“タンポポが咲く春まで時間をください、って”


“翔ちゃんもソラに時間をください”


「オレの時間?」


“春までソラと一緒にいてくれませんか?”


「奏来…」


“ソラのわがままだってわかってる。また翔ちゃんを傷つける。聖ちゃんを、花音ちゃんを傷つける。それでもソラはやっぱり翔ちゃんと一緒にいたいの。きっとソラはみんな程長く生きられない。その分だけ、わがままを許してください”


「奏来…!」