ガラスのタンポポ#虹

“ズルイよ、ね。ソラが聖ちゃんを選んで翔ちゃんを遠ざけたのに、なのに、翔ちゃんと過ごした日を忘れられないの…。大切に胸にしまっておこうとするのに、気持ちが溢れてしまうの。早くタンポポを見つけて終わりにしなきゃ…”


そこまで書くと、奏来は、土にまみれた小さな手で涙を拭った。


溢れる涙を止めようとしない奏来を、オレは。


強く強く抱き締めてしまう。


花音に恋をしようと決めたくせに、オレの手は奏来へ向かって伸びてしまう。


「奏来。終わりなんて悲しい事、言うな。奏来はもっと自由でいい。無理にタンポポを探す事をしなくてもいい。奏来は欲しい物を心のまま求めろよ。奏来はどっちが欲しい?オレ?それとも兄貴…?」


奏来はオレの腕をほどき、泣きながらマンションへ走って行った。


部屋にこもり、1人で泣くのだろうか。


それとも。


兄貴の胸で泣くのだろうか。


オレの苦しい質問に答えられない奏来を、オレはやっぱり想ってしまう。


でも、許しちゃいけない想い。


オレは自分に約束した。


花音に恋しよう、そう決めたんだ。


必死になって立って歩き始めた花音を今度はオレが支える、そう結んだ。


会いに行こう。


花音に会えば揺らいだこの気持ちも落ち着くに違いない。