ガラスのタンポポ#虹

夏の日射しが照りつける車内は、むせかえるように暑くて。


オレの胸もむせかえって。


流れゆく景色を見ながら、オレはまた涙が止まらなかった。


奏来の前で。


この涙を見せずにいられて良かった。


「翔」


「………」


「辛い思い、させたな」


「何だよ…。兄貴のくせに、兄貴らしくもねぇ」


「奏来を、翔の子を幸せにすると誓うよ」


「うん…。兄貴」


「ん?」


「オレの子を…ごめん」


「それが奏来の幸せなんだ。ごめんなんて取り消せ」


「うん…。じゃあ、前言撤回」


「翔」


「ん?」


「オレ達、やっと兄弟になれた気がするな」


「そうかも、な」


「花音を」


「うん」


「花音を幸せにしろよ。奏来が託した最後の願いだ」


「…わかった」


駅に着き、兄貴と手を握り合って名古屋を発った。