ガラスのタンポポ#虹

「これ…」


「保証人の欄、書いてほしい」


「オレ、が…?」


「何の責任もないよ。ただ書いて覚悟してほしい」


「覚悟?」


「奏来が死ぬまで、俺が奏来の夫だと覚悟するんだ」


夫。


夫婦。


奏来と兄貴は。


結婚の意を固めたんだ…。


“翔ちゃん、無理ならいいの”


「奏来はいい、何も言うな。翔、書けるな?」


「…うん。書くよ」


渡されたボールペンで震える手をおさえながら、


‘天宮 翔’


の、名前を書いた。


すでに兄貴と奏来の名前、もう1人の保証人とオレの名前が書かれた婚姻届は完成。


これを提出すれば。


奏来と兄貴の結婚は、成立。


兄貴の元へ残れと言ったのは、オレ。


なのになぜだろう。


この空虚な気持ち。