翌週の日曜。


オレは名古屋へ。


駅前すぐの喫茶店脇に兄貴の車を見つける。


「翔!」


助手席の奏来が顔を出して。


“名古屋へようこそ♪”


明るく笑ってオレを迎える。


後部座席に乗り込むと、車はすぐに動き出した。


「とりあえず家な」


「あぁ」


車内は静か。


オレは来る道中あれこれ考えたが、今の奏来にふさわしい言葉は見つからなかった。


奏来に会えば自然と会話ができるんじゃないか。


そんな甘い考えすら砕けた。


賑やかな街の中心地から20分程走って、それほど新しくもないマンション。


ここが。


兄貴と奏来の家。