ガラスのタンポポ#虹

泣きやんでも残る喪失感。


迎えに行けないと言ったのは、オレの方なのに。


兄貴の元で産めと言ったのは、オレの方なのに。


奏来を失って三度目、初めてまだ抱けない子供を失った心の穴は、大きい。


花音はオレを抱いたまま、言葉を出す。


「あたしを置いてきぼりにはできなかったのでしょ?」


「奏来達を捨てた理由を、花音のせいにはしたくない」


「でも、結果はそうでしょ?…ごめんなさい」


「謝るな。オレは多分、花音も幸せにはできないよ」


「シ・ア・ワ・セ…かぁ…」


「オレは花音に痛みしか与えてやれない。こんなオレ、いらないって言えよ」


「翔くん、それは違うよ?あたしはその痛みさえ、翔くんといれば愛しいと思えた。生きてくってね、楽しい事ばかりじゃないと思うの。時には傷つけ合う事も辛い事もあると思う。でも、それを分かち合えるのが、家族だったり、心から愛せる人なんじゃないのかな」


「心から…愛せる…?」


「うん。翔くんは奏来ちゃんを心から愛せたでしょ?できるんだよ?その相手はあたしかも、あたしじゃない人かもしれない。だからね、怖がらないで恋をして?」