ガラスのタンポポ#虹

そこまで言うと、抱き締めた小さな花音の体から、ふと、力が抜けた。


見ると意識を失っている。


おそらく、行かせなきゃならない思いと、行ってほしくない真逆の心の葛藤が、花音の精神を切ってしまったのだろう。


花音…。


花音の言う通りだよ。


オレはキミに辛さしか与えてやれない。


やっと迎えた長かった記念日を。


また辛い思い出にしてしまったね。


花音を抱き上げ、隣の部屋のベッドへ横たえた。


今すぐ名古屋へ行きたいけれど、こんな花音を置いていけない。


目に溜まった涙を指で拭い、青白い顔を眺めた。


“いつだって笑ってる子”


おばさんはそう言ってた。


その花音をこんな悲しみに落とす事しかできないオレは。


誰も愛してはいけないんじゃないか。


そんな思いが頭をよぎる。


奏来も花音も。


オレは見ちゃいけないのかもしれない。


ケータイを開き、言葉に迷いながらメールを打つ。