ガラスのタンポポ#虹

「奏来ちゃん…」


「………」


「奏来ちゃん、翔くんの子を妊娠したんだね…?」


じっとケータイを握り締めるだけで、花音の顔が見られない。


きっと花音は。


笑ってる、そんな気がしたから。


「おめでとう、翔くん」


「花音…」


目に涙をたたえた花音の笑顔は、遠い。


せっかくの記念日を。


オレはまた、踏みにじった。


「行ってあげて?」


「え…」


「今すぐ名古屋に行ってあげて?」


「でも…」


「あたしには奏来ちゃんの子供のパパ、本当のパパを奪う権利なんて、ない。翔くんはね、奏来ちゃんと生きるべき、だよ?」