ガラスのタンポポ#虹

───トントン


「入るわよ」


おばさんが部屋に入ってきて、花音を静かに抱き止めた。


「花音。翔くんはここにいるじゃない。そんな事言って困らせるもんじゃないわ」


「だって…。だって…!」


「ごめんなさいね、翔くん。花音、あの日以来眠れてないようだから、神経が高ぶっちゃってるだけなの。許してくれるかしら?」


「許すだなんて。いけなかったのは…悪いのはオレの方ですから」


「そうだよッ!こんな恋…あたしばっかりの恋に意味なんてなかった!でも今は違う。あたしは歩けない、翔くんはいてくれるっ。ねぇ、気持ちくれるでしょ!?もう奏来ちゃんじゃなくてもいいでしょ!?」


「花音…」


「花音、お薬飲みましょう。少し眠るといいわ。翔くんはいてくれるから。ねっ?」


コップに水をいれてきたおばさんの手から薬を取り、花音は素直に薬を飲んだ。


自分で吐き出した言葉さえ、辛いのだろう。


泣き続けている花音を車椅子から抱き、ベッドに寝かせた。


「…っ…っ…!翔くん…。翔くん…!」


「翔くん、あとは頼めるかしら?花音が眠るまで、いてくれる?」


「オレでかまわないのなら」


「今、花音が欲しいのは、翔くんだけだから。お願い、ね?」


「ハイ」


辛そうな表情を見せ、おばさんは部屋から出て行った。