ガラスのタンポポ#虹

「ごめん、花音…。見つからなかった」


「いいの…。もう、いいの、翔くん…」


潤んだ目の花音。


ベンチに手をかけ何度も立とうとするが、どうしても足に力が入らなく、へたり込んでしまう。


「花音、もういい。無理するな」


「だって…!だって、やっと取り戻せたのに…!足も翔くんも、やっと取り戻せたのに、あたしはまた失う!足も…翔くんも…だから…だから立たなきゃならないのッ!」


そう言って花音は懸命に立とうとする。


何度やっても結果は同じなのに、繰り返し、繰り返し。


「花音、オレはここにいる。いなくなったりしないさ。だから、ほら、オレが抱くから、な?」


「翔くん…!」


かがんだオレの首に花音が腕を絡める。


耳のすぐそばで花音がすすり泣く。


髪が触れるこの距離を。


絡まった華奢な腕を。


オレは。


オレはそっとほどき、花音を抱きかかえた。