ガラスのタンポポ#虹

「なんでここに来てんだよッ!ここは花音が踏み込める場所じゃねーんだよッ!ここには二度と来るな。帰れッ!!」


花音は公園に踏み入れた足を歩道に上げて。


大きな黒目がちな瞳からは大粒の涙がこぼれた。


「…っ…っ…。嬉しい…」


「は?」


「翔くんが…。翔くんが初めてあたしに感情をぶつけてくれた…。あたし…っ…っ…どうしようもなく嬉しいよ…」


感情、それが理不尽な怒りでさえ。


花音は嬉しいと言って、笑って泣く。


そんな花音にわく、いじらしいようなこの思いは。


もう忘れていたはず、一生分使い果たしてしまったはずの心。


なんでだよ。


オレを動かすなよ。


その涙で。


オレの背中を押すなよ。


公園を出て子供のように泣きじゃくる花音の手を引き、マンションに帰った。