ガラスのタンポポ#虹

「オレは麻穂をうんと大事にしたい、そう思いますよ」


大事。


その感情は。


もうわかない。


奏来で全部使い果たしたんだよ。


花音にしてやるべき、贈ってやるべき感情は、もう。


一生分使い果たしてしまった。


「良平って、いい事言うな?」


「からかわないでください。オレはあんな花音、見てられないっスよ。1人でおどけて1人で笑ってみせて。まるでピエロだ」


「お互い承知の上さ」


「それでも相手が同じ気持ちでいればいいと願うのが、恋だろ?期待させて踏みにじっての繰り返し、まるでアリ地獄だ」


「そうかもな。それでも花音が笑うのは、なぜだと思う?」


「好き、だから。翔さんの事が好きだから。でも、こんなの長く続きっこない。花音が変わるか、翔さんが変わるべきか。答えはわかってますよね?」


「そうだな。2人の行く先は闇か絶望か。どちらにしろ明るい道じゃないだろうな」


「わかってるんなら。今すぐ花音を解放してやってください。じらされて突き落とされるより、今、手放した方が、花音はまた別の道を探せる。翔さんじゃなく…」