奏来。


オレ達には何が残っただろう。


春まで、タンポポが咲くまでと約束したオレ達には、悲しい別れしか残らなかったか…?


いや、違う。


ちゃんと実ってたよな?


オレが奏来を想い、奏来はオレを想う。


簡単なようで難しかった時間を、オレ達は取り戻せたよな?


キスして抱き締め合う、優しくし合う事を許されたオレ達に残ったのは、“ずっと想ってる”その言葉通りの未来。


失くしてたと思ってた未来がつかめたよ。


オレにはそれで十分さ。


だからさ、奏来。


オレを胸に秘めながらでもいい、兄貴の所へ行けよ。


綿毛にならない、あのシトリン・クォーツを薬指にはめたまま、兄貴の所で。


笑ってくれよ。


頼むから。


兄貴の隣でいい、あの笑顔を取り戻してくれよ、な?