ガラスのタンポポ#虹

奏来が手術を受けた総合病院までは、バスを乗り継いで行かなければならない。


遠い上に、医者が何を告げるか、という不安があるから、いつも兄貴かおばさんが同行するが、兄貴は出張、クリーニング店で働くおばさんはこの梅雨時期忙しく、今日はオレが付き添う事になった。


検査を終えて、医者の話。


「内海さんの喉に異常は見られません。検査の写真にも影はありませんし、腫瘍マーカーの数値も正常範囲内です。術後は良好ですよ」


奏来の肩から力が抜ける。


こうして病院に通いながら、いつも怯えているんだろうな。


‘転移’


その言葉が怖くて恐怖と闘い、病気と闘い、なのにいつも奏来はオレの前では奏来らしく振る舞う。


兄貴には。


全てを打ち明けているのだろうか。


怖い、辛い、声が欲しい。


泣きながら兄貴に正直に告げていてほしい。


オレには。


何もできないから。