ガラスのタンポポ#虹

オレは。


否定も肯定もできずに、ただマグカップの中のコーヒーを見つめた。


“翔ちゃん?”


「奏来…」


“今日、お泊まりしてって?またクリスマスの時みたくトランプして?”


奏来の願い通り。


笑って別れなければ。


次の奏来に会えない気がした。


オレがあがけばあがく程、奏来は遠くへ。


遠くへ行ってしまうような気がして。


「うん。トランプ、しよう」


奏来の部屋のベッドの上で2人きりのババぬき。


どうしてか今日はオレばかりがババ。


つくづくだよ、な。


不幸せはババまで招くなんて、バカげてる。


それでも奏来は笑った。


聞こえそうだよ。


奏来の高らかな澄んだあの笑い声が。


「翔ちゃん!」


と。


オレの名を呼ぶ幻となった奏来の声が。