笑顔の奏来がオレに差し出した、軽く1/4はあるんじゃないかと思われるケーキ。


奏来は自分の分のイチゴをオレのケーキに乗せた。


「奏来、いいよ。イチゴ、好きだろ?」


ううん、と頭を振る奏来のケーキに、兄貴が自分の分のイチゴを乗せた。


イチゴ、オレ、奏来、兄貴。


これが今のオレ達の形。


「さーて。じゃあ気合い入れて食うかっ!」


奏来がいれてくれた濃いめのコーヒーと交互に、ケーキを胃袋に詰め込んだ。


甘酸っぱいイチゴの乗ったショートケーキを笑顔で頬張る奏来を、いつになく遠く感じた。