ガラスのタンポポ#虹

「せっかくここまで来たんだ。外、歩くか?」


“うんっ!”


手を繋いで外に出ると、上空から白い粒が奏来の頬に降りた。


雪だ。


奏来は雪の妖精。


柄にもなくそんな事を考えてしまうのは。


春になれば消えてしまう儚さのせいなのか。


それともイブという特別な日の魔法なのか、わからない。


どちらにせよ奏来の手を握るには十分な理由だと思えた。


だって、繋がなければこの頼りない結晶のように消えてしまう。


溶けてなくなる。


だからオレは奏来の手を繋ぐ。


“ソラ、お母さんにお土産買いたいなっ”


どこもかしこもクリスマス一色の店を数軒回り、奏来はおばさん用に、アロマキャンドルやあんずジャムを買って、買い物が一段落すると、カフェで遅めのランチ。


少し物足りない量のパスタの後、紅茶とスコーンが出てきた。


なぜか食べるのがためらわれて、オレはコーヒーを注文した。


奏来とはコーヒーがいい。


なんだかそれだけは譲っちゃいけないような気がした。