「ゆきちゃん、合格発表一緒にくとか言い出さないよね？」
あたしはやっとテレビ画面からはなれ、
熱心に鏡の前で化粧をしているゆきちゃんに言った。
「え、嫌なの？車のせてくよ？」
「・・・嫌だけど車には惹かれるね、それ」
だったらいいじゃない！って横目で返してくるから
あたしはしょうがなく「わかった」なんて言ってしまった。
部屋に戻り、制服に着替える。
最近めっきり着てなかった可哀そうなｾｰﾗｰ服。
理由はクラスでのﾊﾌﾞ。まあありがちな話。
久々の制服、袖に通しただけでひやっとした。
メイクするのももったいないからすっぴんで、
でもまつ毛だけは一応あげていった。
一通り用意を終えたらゆきちゃんが
「きょうはﾊﾙちゃんのっけてく？」
って居間からひょこっと現れた。
ﾊﾙっていうのはあたしの友達で、いつも遊ぶ子。
春田透(ﾊﾙﾀﾄｵﾙ)、中三からすごく仲良くなった
ﾊﾙは前期から受験する場所が一緒で、
それで一緒におちて…(笑)
だから後期もﾊﾙとがいいねってなった。
「のっけてくんなら早く呼びな！」
「いま電話するっつーのー」
ゆきちゃんにせかされて、靴をはきながら電話をかけた。
「…もしもしい？」
「ﾊﾙ？あたしだけど、今日行くでしょ？」
「発表？あーいくわー」
なんともやる気のないﾊﾙを誘って、10分後にﾊﾙの家に行くからって伝えた。
久々の外
まるでニートみたいに引きこもってたから
なんだか少し楽しみだった。
