2人で帰ってる間、月夜はずっと明るく話をしてくれた。

だから、あの気まずい空気のことなんて忘れて、いつも通り笑ってることができた。


「…なら、全部行こうぜ?」

『へ?』

「食べたいもの、とことん食べつくせばいいじゃん。付き合ってやるよ。」

『えっでも―…』

「お嬢様が遠慮なんかしてんじゃねーよ。」

『…月夜は、優しいね。』


すごく…すごく優しい。
だから、こんな気持ちになるのかな?…話したいって、思うのかな?


『…聞かないの?あの、気まずい空気の理由。』

「話したい?…姫梨が話したいなら、聞くよ。」


私、月夜ってなんとなくもっとキツい人だと思ってた。少し…遠くの人だって。

でも、違った。
月夜は、思いやる心がある。

メロンパン買ってきてくれたし、今もこうやって普通に話してくれてる。


…表情を見てる限り、自覚はないみたいだけど。