私の視線に気づいたのか、
あの男がチラっと私を見た。
そして、ニコっと笑って
矢を射っていった。
的に何本か当たって、
きっと、上手なんだなと
ひそかに思った。
私たちは2時間ぐらい
見学して、道場を出た。
『由華ぁ!さっき土下座してきた
人おったやん?その人
めっちゃカッコ良くなかった?』
「うん、カッコ良いとは思うけど
うちのタイプではないなあ〜」
『なんやねーん!でもきっと
良い人やと思わへん?』
「そうやなあ、え、もしかして
一目惚れとかした感じ?」
『…ばれた?(笑)はい、一目惚れ
しました。』
「まぢでか!でも良いと思う!
応援するから!」
『ありがとう(笑)(笑)』
まさか、あの男と
人生最大の恋愛をするなんて
思ってなかった。

