むせ返りながらオレは必死に空気を吸い込み、その声の主を見た

ヒトミだった。

赤く染まったナイフを手に持ち、男を見下ろしている。

「愛…」

男の白衣が赤く染まっている。

「大丈夫だ。愛。私が…復讐を…してやる」

息も絶え絶えながらもオレに殺意を向ける男に、ヒトミは容赦なくナイフを振りおろした。

男の顔が初めて恐怖に歪んだ。

「愛…?なぜだ…?やめてくれ…」

「愛を苦しめたのはあんただ!父親のくせに、何度も何度も愛を殺してきた!お前が愛を苦しめたんだ!」