「ほっとけばいいだろ」

そして、そのままキサラギを置いて俺たちは帰った。

家に帰ってもあのキサラギの瞳が忘れられなかった。

自分でもなぜか分からない。

オレは恐れた。

自分のこの気持ちを。持ってはならない感情をもっている自分が怖かった。

そして、このことが周りに知られることを。

キサラギが崖から落ちたことなんか、この時のオレは少しも気にしていなかった。