分かってるくせに言わせようとするのか。

「オレはヒトミが好きだよ。」

「…私も。藤沢君が好き。大好き!」

さらに強くヒトミを抱きしめた。

こんな愛おしい気持ちは初めてだった。

この小さな体をオレがずっと守っていきたい。


「私、海に行きたいな。」

「海?まだ早いだろ?」

「行きたいの。見るだけでいいの。
 広くて大きな海を一緒に見たいの。
 ね?行こうよ」

「分かった。行こう」


約束だよ。


そう言ってヒトミはオレの胸に顔をうずめた。