止まる時の流れ
雪さんだけが動く
周りの声は、私の耳に届かず
無音な世界になっていた。
その世界から、連れだしてくれたのが麻亜さんだった。
「ほら行くよ、結菜」
そう言って、麻亜さんは雪さんのいる方向に向かった。
「…は、はい」
私は返事をしてその後を追いながら、梨遊さんがいないことを不思議に思った。
雪さんに近付くにつれ私の胸の鼓動は、当然早くなる
壊れちゃうんじゃないかなって思うくらいだった。
不安も少しはあるんだけど、話せるという嬉しさもあった。
「雪っ、連れて来たよ」
雪さんに本当に近づくと、麻亜さんがそう言ったのに対して
雪さんは返事をした。
「おう、ありがとな」
久しぶりに聞く雪さんの声は、私の鼓動をより早くしたんだけど
なぜか、私はそれを聞いて安心していた。



