「ねぇ、遥ー。あたしと付き合って?」

僕は夏目遥。ただいま告白現場の中心にいる。
ルックスは好み。性格もいい。だけど。
女の子の後ろの方で小さな男の子がニコニコ笑っていた。
僕だけが知っているその男の子の正体。みんなには見えない。そう。つまり、彼はこの世にいないのだ。

「ごめん。そういう風に考えたことない。」

短く答えると、彼女は少し泣き目になりながら、

「あ、いきなりごめんね?今の、忘れて!」

と言い、校舎に向かって駆け出していった。

自分で言うのもなんだが、僕は結構モテる方だと思う。色んな人から“イケメン”と何度も言われたことがある。バレンタインだってチョコの数は多い。
でも、付き合ったことはあまりない。“告白”というものをするには、勇気と、少しばかりの自信が必要だ。おとなしめの子はあんまり告白とは縁がないようだ。したがって、僕に告白する子は、けっこう派手めの女の子が多い。
派手めの女の子というのは、けっこう経験豊富で、特にルックスの良い子なんかはたまに幽霊が側にいる。側にいる理由としては人によってさまざま。
そういう人は、僕はお断りする。