「兄貴!?」


無我夢中で走った場所は病院。

息を切らしながら大声で叫んだ。


目の前の椅子にかすかな明かりが寿二の顔を照らした。


「姉貴…」


電話の時と一緒のように消え入りそうな弱々しい声で私を呼ぶ。


「お母さんは?」


「きてねぇよ」


「そうか…鉄二は?」


次の言葉を聞いて私は頭が真っ白になる。


「やべぇ…」


「…っ…」


いけない。


ここは姉として、しっかりしないと…。


でも足の震えは止まらなかった。


ギュッと誰かが私の手を包んだ。


暖かさがジワジワと私の体に流れてくる。


落ち着く…。


足の震えがおさまって、手を包んでくれてる相手を見た。