「寿二(ヒサシ)!?」
私の弟『寿二』がいた。
寿二は去年ぐらいから家出をしたっきり帰って来なかったのにー…
なんで突然…
「声でけぇよ」
私より一個下の寿二は面倒くさそうに言った。
「そりゃ、びっくりするでしょ!?あんた今までどこにいたの!?」
「あ?教えるわけねぇだろ」
寿二は唾をペッと廊下に吐き捨てる。
「ちょ、汚いでしょうが!?」
急いでそれをティッシュで拭いた。
「姉ちゃんよぉ~?なんでこんな家にまだいんだよ?」
私はそう言った寿二の顔をジッと見る。
寿二の目は、黒い暗い目をしていた。
「…お前こそ逃げてるだけじゃねぇか」
私は寿二を睨み付けてそう言った。
「あぁ!?」
寿二はよっぽどその言葉が気にくわなかったのか近くにあった椅子で窓ガラスを割った。
パリーン
「平然にしてる姉ちゃんがありえねぇよ!?兄貴だってこの家が嫌で出ていったじゃねぇか!?」
寿二は怒鳴り声をあげる。
「私は逃げねぇよ!!」
私も寿二に負けないぐらいの怒鳴り声をあげた。
寿二は少し驚いて、それでもまだ私を睨むのをやめない。
「勝手に言ってろ」
そう冷たい言葉を残して寿二は出ていった。
「寿二…。」
寿二が居なくなった後私は呆然と立ち尽くした。


