祐司さんと武さんがいなくなってから、全員深刻そうな顔をしていた。

「まさかなぁー…闇龍に裏切りものがいるとはなー…」


奏は、ひどく落ち込んでいた。

「そんなもんなんだよ…。族の世界は…。俺が前にいた族なんて…」


優也は悲しそうな顔をしながら呟いた。



「ちっ、なんつー顔してんだ?てめぇらはよ!?」


雅が突然立ち上がって怒鳴りはじめた。


「まだ、決まったわけじゃねぇだろうが!!だいたい闇龍の仲間が本当に裏切るとでも思ってんのかよ!?」



私は「確かにそうだ…」と言って、ポケットから一本の煙草をとりだした。


「最初から仲間を疑っちゃいけねぇ…。けど、ここまで情報が漏れたら正直疑いたくなる…。私だって信じたくはないが有り得る可能性だってある。でも…違う可能性だってある。」


私は人差し指と中指で持っている煙草を前に突き付けた。


「もしかしたら…案外この中に裏切りものがいるかもしれない。」

全員が私を真剣に見る。


「ま、私はお前らが裏切るなんてこれぽっちも思ってねぇけどな…。」


私はニッと笑った。