事情を説明する間、
円香はすぐ俺に腕を絡めてくる。
すかさず直之に
睨みつけられるところを見ると、
まだ前進はしていないらしい。
せっかく2人の時間を偶然だけど
作ってあげたのに!
「まぁ、そういう訳」
「大変だったね、亮佑、ナエちゃん!
怪我とかしてない?大丈夫?」
心配そうな声を出すが、
明らかに俺しか見ていない。
早苗は特に気にしてないようだけど、
あまりの密着度に直之は機嫌が悪そうだ。
無理矢理引きはがして早苗にパス。
なんで俺懐かれてんの……
「とにかく!用心しながら
夜店楽しもう!お腹空いちゃった」
円香の提案で、混雑している
夜店を回ることにした。
河原沿いに20mくらい続く夜店には、
食べ物から射的、くじ引きやお面もある。
食べ物系の屋台が多くて、
何にするか一周してから
各自好きな物を買いに行った。
俺は定番のヤキソバ!
祭といったら、夜店といったら
コレは外せないでしょ!
直之はお好み焼きとフランクフルト。
早苗は焼鳥とりんごあめで、
円香はチョコバナナを買っていた。
「お腹空いたとか言ってて
なんでチョコバナナなんだよ」
「別にいいでしょ!好きなんだもん」
直之と円香は今にも火花が出そうなほど
お互いムッとした顔を突き合わせた。
おいおい…そんなんじゃ
上手く行くほうが無理なんじゃ…。
先が思いやられる。

