同じことを思ったのか、
ふと、早苗と視線が合った。
早苗はその綺麗な顔を
花火で照らされながら、
小さく微笑してまた夜空に視線を移した。
中学のとき、友達が
彼女と花火大会に行ったことを自慢してた。
その時は
『わざわざ人混みに飛び込むとは…愛だな』
なんて思っていた俺だけど、
今、その友達の気持ちが分かる。
こんなに幸せな気持ちになれるなら、
俺も彼女と花火大会に行きたいな。
その時隣にいてくれるのは誰だろう。
早苗だったらいいな…。
いや、早苗がいい!
一緒に並んで、2人で花火が見たい。
そんなこと思いながら、
俺はずっと花火に見とれていた。