円香の浴衣姿を想像して、
俺はものすごく重要な事実に
気が付いてしまった。
「そうだよ…そうだよ!」
思わず声に出て、
直之は不審に思ったのか
俺の顔を覗きこんだ。
「おい!お前明日帰るんだよな!」
「だからー、さっき話したじゃん」
「つまり!つまり、だ!
お前が円香に告るなら、
今日しかチャンスがないってことじゃん!」
直之が目を大きく見開く。
そして青い顔をして、
俺の両肩を掴んで揺さぶった。
「どうしよう、亮佑?!」
「どうしようって…。お前だろ?
"気持ち伝えたい"って言ったの!」
あわわわわ、と明かに
テンパっている直之は
俺の肩にぐっと力を込めた。
「ちょ…痛い…ぶわっ」
そのまま後ろに倒されて、
さらに直之は俺を起こさず
上に被さるようにして、
今にも泣きだしそうな顔で言った。
「頭真っ白…あと2、3時間しかないのに
告白の言葉が全然思いつかない!」
「わ、わかったから!
一瞬に考えるから起こせ!気持ち悪い!」
そこへ、タイミング悪く
部屋の扉が開かれる。
ノックも声がけもなしで入って来るのは
早苗以外考えられない。

