夏 色 の 風





円香との約束は6時だった。




花火の会場は、俺たちが

キャンプをした河原らしく

円香の家の屋上からだと

綺麗に見れるらしい。




みんなそれを知っているそうなので

『場所取りは任せて!!』と

円香は鼻息を荒くしていたそうだ。




ある程度花火を見たら、

河原沿いの夜店に晩御飯を買いに行く。




そんな計画だった。




まだ午後2時過ぎだったので

俺は直之の荷物を片付けるのを

手伝ったりした。




3時頃、早苗がバタバタ廊下を走って行く。


「ばあちゃーん、やっぱり上手く出来ない」


「どれ、見せてみな」




話し声だけが聞こえたが、

直之は敏感に反応した。




「なぁなぁっ、

もしかして早苗も円香も

浴衣なんじゃないか?!」


「浴衣ぁ?」




都会の方じゃ滅多に着ている人を

見かけない。

大きな花火大会のときも

私服の人のほうが圧倒的に多い。


「さぁ。どうかな」


適当に返したが、実は気になる。




早苗の浴衣姿とか…

おおお…絶対似合う!