直之が俺を呼んでいる――




そう言われて、俺は

畑仕事を切りよく終わらせ

部屋に戻った。




「お疲れ様ぁ、亮佑くん。

ほれ、麦茶でも一杯いかが?」


「おぉ…って、ぬるい!

冷たいやつ飲みたいっ」




絶対自分で飲むように持ってきて

すっかり忘れててぬるくなった麦茶を

捨てるのは勿体ないし、

また冷やすのは面倒だし、

ぁあ、亮佑に押し付けてしまえ…

とか思ったんだ!きっと!




「今、母ちゃんから電話あって

もうお盆なんだから

早急に帰って来いってさ」


「ぁあ、お盆か。

たしかお盆って13日から?

今日何日?」


「13日」




お盆かー、墓参り行かないと。




…ん?ということはつまり。




「急だけど明日帰ります」


「急過ぎじゃね?!

電車とかいっぱいなんじゃ…」


「あー、大丈夫大丈夫。

家の親戚が隣の県だから、

普通の電車でそっち向かうわ。

半日もガタンゴトン揺られてりゃあ

多分着くだろ。

母ちゃんも明日向かうっていうし」




嵐のように来て

嵐のように去って行くんだな…。




さすが、直之だ。