「だぁかぁらぁ〜!
何勝手に上がりこんでんだよ、
胡瓜泥棒!!」
「人を泥棒扱いしないで。
あたしは――」
言いかけたところで、
俺らを無視してばあちゃんが
"いただきます"の体勢に入っている。
つまり、箸を持って両手を合わせ
ニコニコと無言の圧力を
俺らに向けているのだ…。
うちの母親もたまにやるんだよな…
無言の圧力。
地味に怖いことを、俺は知っている…。
急いで座る。
胡瓜泥棒もテレビの前から移動し、
背の低いテーブルに
ばあちゃんと女の子が向かい合い
俺が真ん中に座った。
「「「いただきます」」」
ご馳走を目の前にすると、
胡瓜泥棒のことなど
どうでもよくなってしまった。
ううん、とにかく、
ご飯が美味い!