俺が素っ頓狂な声を出したので
早苗は驚いた顔をした。
「亮佑しらなかったんだ」
「…初耳です」
直之はケラケラ笑う。
なんだか隠し事されてた気分だ。
別にこいつの将来を邪魔する気もないし
俺は知らなくてもいい事なのかもしれない。
だけど、だけど、だけど…。
一応さ、親友じゃん?
言ってくれてもいいじゃんかよ…。
「あははは、亮佑凹んでる」
「俺…畑見てくる…」
「なんだよー、そんな凹まなくても」
別に凹んでる訳じゃない。
ちょっと…ショックというか、
なんというか。
立ち上がろうとした俺の手を
早苗がぐっと引っ張る。
バランスを崩して、早苗の方に
倒れそうになったから
慌てて重心をずらして尻餅をついた。
「痛ぇ…何すんだよ」
「まだ、亮佑の進路聞いてない」
はぁ?
「決まってねーよ!以上!」
早苗の腕を振りほどき、
どかどか畑に出た。
――あぁ、茄子よ胡瓜よ
南瓜よトウモロコシよ…
俺を癒しておくれ……
ぁ、トマトはいいから。
トマトはむしろ傷をえぐるからやめてくれ。

