頭がいい2人は

俺を笑いの種にしつつも、

他の宿題を覗いていた。




ざっと目を通した早苗は

はぁ、とため息をついた。



「都会から来たわりには、

あたしより全然楽な宿題ね」


「こっちのはどんななの?」


直之が興味津々で聞く。

そこから先は俺には理解出来なかったけど

とにかく早苗は遥かにレベルの高い

問題なんかをやらされているようだ。




なんでも、田舎の高校だけど

一応この辺りでは名の通った進学校で

3年生の7月までには

全て叩き込まれるらしい。

夏休みが明けると、

進学組と就職組に分かれて

進学組は3年間の勉強を

徹底的にやらされる。

就職組は就職先を探すのを始め

様々な技能(主に農業関連)を

学ぶそうだ。




「早苗は進路決まってんの?」


「一応就職かな。だけど

進学も諦めてないよ」


「ふーん…俺は大学目指してんだぁ」


「えっ?そうなの?!」




初耳だった。

直之は大学目指してるのか…。

俺、高校まではどうにか

追いかけられたけど、

大学となると厳しいだろうな…。




俺で入れるのは、

せいぜい無名の私立くらいだろう。




「将来やりたいことがあるのね?」


「まぁ…一応これでも医者目指してる」


「医者ぁ?!」




なおさら無理だ。

高校3年間でさえ辛いのに、

さらに6年も勉強だなんて

俺に堪えられるわけがない。