花火の前日、
俺は早苗に存分に笑われていた。
「こんな問題も出来ないわけ?」
「うっ、うるせーなっ!
じゃあ早苗は分かるのかよっ」
「こんなの中学生のレベルよ。
簡単に決まってるじゃない」
「はっはー、言われてるなぁ亮佑」
事の発端は、俺と直之が居間で
宿題をしていた時に、
早苗がちょうど帰宅して
俺が直之にドツかれているのを見て
俺の宿題を覗きこんだのだ。
今日はばあちゃんも早苗もいないから
家事をこなした後、テレビでも見ながら
宿題を片付けようと居間で
やったのが間違いだった。
早苗は笑い転げたあと、
俺の解答を消し、綺麗な字で
さささーっと問題を解いてしまった。
「おっ、正解〜」
直之とハイタッチして、
「こんな問題、お話になりませんわー」
と俺を見た。
くっそう…
俺より馬鹿だと思ってたのに
めちゃめちゃ頭いいじゃんか…!