「そうなんだ!

お互い上手くいくといいね!

…まぁ、あたしにはライバルがいて

結構前途多難なんだけどさ」




「はは、俺も同じ。

お互い苦労するなぁ」




そんな話しをしていたら

円香が眠たくなったと訴え、

俺達が帰るのを待たずに眠ってしまった。




テントの中は結構蒸し暑く、

寝ている間に直之は服を脱いだらしい。




ふと朝方目が覚めて、

俺達が戻っていないのを確認すると

背中に円香が張り付いているのに

気が付いた。




その可愛い寝顔に。




急に沸き上がった恋心と嫉妬に

思わず、円香の唇を奪った…と。




そのとき、外で俺達の声がして

慌てて寝たふりをした。




そのまま朝、円香にビンタされるまで

寝てしまった、という話しだった。





「だからってお前、

寝てる女の子にキスするとか

最低だぞ…」


「分かってる、けど。

つい」




つい、じゃない!!

だけど昨夜の自分の行動を思い出し

それ以上は言えなかった。




「それで?」


「それで?って…亮佑冷たいぃぃ」


「んなこと言ったって、

これからどうしたいんだよ、お前」


「いや、あの…ちゃんと

気持ち伝えたい…とは思ってるよ」




気持ち…伝えるつもりはあるんだ。

驚いて直之を見ると、

あちらも驚いたようで。




「何?お前、言わないで帰るつもり?」


「だってー!!

一応親戚だろ?これからだって

ばあちゃん家には来るだろうし

今告って気まずくなりたくねぇもん…」




もし上手くいけばいい。

だけど、違う結果になったら

絶対気まずくてばあちゃん家にも

来れなくなっちゃうだろう。

つまり、疎遠になっちゃう訳で。




だったら今のまま、

気持ちを隠したままで

普通に接してもらったほうがいい。