風呂を終えると、
早苗はばあちゃんと夕食の
野菜を収穫しに行った。
『トマトいっぱい取ってくるね』
ニヤリとした顔で
軽やかに家を出ていく。
トマトが好きな直之は喜んだけど
俺は頭痛のする頭を抑えるのに
精一杯だった。
することがないので
直之に宿題を教わる。
「教えてやる。
ただし条件付き」
「はぁ?なんだよ、変なことじゃなきゃ
別にいいけど」
手を叩いて喜んだ直之は、
真剣な顔つきで声を潜めた。
「亮佑は円香ちゃんのこと、
どう思う?」
「円香?別に…元気で明るい子だなぁ、と」
明る過ぎるけど。
「そうか…お前は早苗ちゃんに
惚れてるって言ってたもんな…」
薮から棒に何が言いたいんだ。
ちょっと頭を働かせれば、
すぐに直之が何を言いたいのか分かった。
「ほほぅ。惚れたか」
「YES」
「昨日、何かあったか」
「……YES」
「具体的に何があった」
「……。お前こそ、
早苗ちゃんと出て行ったきり
戻って来なかったじゃねーか!
何かあったのかぁ?」
あまりにしつこいので、
二人で外で寝ちゃったことを話すと
大爆笑される。
まぁ、普通の反応だな…。
「で、そっちは」
いつになく真剣な顔の直之に
ただ事じゃないのか…と
不安になった。

