早苗と散歩がてらに買ってきた
朝食のおにぎりを食べ終え、
みんなでテントを撤収したり
荷物をまとめたりして
昼前には解散した。
解散間際、円香が
「次は花火大会ね!!
今度の土曜日なの!
もちろん、来るよね?」
なんて言うもんだから
「ぁ、うん…」
って返事するしかないだろ!
だけどあんなにじゃれあっていた
直之と円香は、視線が合うと
わざと外したり、舌を出してみたり
威嚇しあっていた。
円香はそれ以降、
何かあるたびに俺か早苗を呼ぶ。
8割俺なんですがね。
そのたびに直之から『裏切り者』って
視線で訴えられるから
たまったもんじゃない。
3人で家に帰ると、
ばあちゃんは畑仕事をしていた。
俺がいないのにいつもより早い…。
なんだか凹む。今日は凹んでばっかりだ。
「昨日亮ちゃんに電話があったよ」
「あー、母さんから?」
「帰国したら、まっすぐ
ココに迎えに来るから、
それまでいい子にしておきんさい、って」
『いい子にしてなさい』って…。
やっぱり俺はガキ扱いだ。
「よかったわねぇ、亮ちゃん。
ママが迎えに来てくれるなんて♪
いい子に待ってよーねぇ」
直之がすかさず茶化してきたので
本気で一発殴ってやろうかと構えると
早苗は横を通り過ぎて、
「これから喧嘩なら、あたしが
お風呂一番ねー!」
と部屋に戻って行った。
俺だって汗流したいのに。
「んじゃ、俺その次な」
直之が言う前に俺が言う。
直之は男のくせに風呂が長い。
待っていたら1時間も2時間も
出て来ない可能性もある。
文句が聞こえてきたけど
無視して半乾きの服を洗濯機に入れ
先に部屋に戻った。

