片付けを済ませた俺たちは
すぐ寝る準備に取り掛かる。
懐中電灯を真ん中に置いて、
荷物でテントを左右に分け
男女を区切っておく。
寝る、と言っても
やっぱりこういう夜は中々寝付けない。
みんな興奮気味で、
「怪談話しよーぜ!!」
と勝手に盛り上がる直之と円香は
勝手に順番を決めて話し始めた。
早苗はずっと「ヤダ、止めて〜」と
訴え続け、悲鳴を上げたり
寝袋に潜ったりしながら参加する。
俺は適当に相槌を打っているうちに
段々眠たくなってきた。
日頃の睡眠不足の賜物だろう。
「ぁ、俺トイレ行って来るわ」
寝たくても多分寝かせてもらえないだろうし
少し気分転換にテントからはい出た。
夜風といっても温風で、
テントの蒸し暑さよりはましだが
重たいため息をつく。
「何?」
後ろから声を掛けられて
すぐに誰だか気がついた。
「あれ、参加してたんじゃないの?」
「怖い話しは嫌いなの。
寝たふりしようかと思ったけど
寝かせてもらえないだろうし。
亮佑が外に出てくれて助かった」
そう言って、長い髪を風に遊ばせながら
早苗が笑った。

