夏 色 の 風





「なんだよ亮佑、早苗ちゃんに

見とれてたのかぁ〜?」


「はぁっ?!んな訳あるか!」




なんて事をでかい声で言うんだ。

直之に「早苗が好き」と言っておいたが

それを素に弄られっぱなしだ。

言うんじゃなかった。

本気で後悔する。




「えぇ〜、何?亮佑はナエちゃん派ぁ〜?」




ほら、ほらほらほら。

円香まで寄ってきたじゃん!

早苗は一人で花火の片付けして

素知らぬ振りを貫いてるし。

気まずくなるだろーがっ!!




「いや、違っ…」


「ぇえ〜。亮佑もミーハーだねぇ」


ミーハーって…久しぶりに聞いたよ。


「ナエちゃんは学校でもモテモテよ〜」


「あー!やっぱり?!

確かにあの顔・スタイルじゃ

男が寄らない訳ねぇよなぁ」


「もうね、ファンクラブ出来る勢い!」


「まじ?!亮佑ぇ、お前

ハードル高いのチョイスしたなぁ」




……俺も今思った。

ファンクラブ?何それ。

一瞬過ぎった立石の顔が、

もしかしてそれなのかと思う。




そんな高嶺の花に思いを寄せたのか、俺。

なんか切ない…