夏 色 の 風





そんな心配を、円香が吹き飛ばした。




「上流に行けば、キャンプとか

バーベキュー用の平たいとこあるよ!

前に家族でそこでキャンプした!」




なるほど。

経験者は語る、とはこのことだろう。

円香は得意げな表情で、

早苗の腕を掴み「ねぇねぇ」とおねだりする。




「バイトの休み取らなきゃ…」




早苗が携帯で予定を確認する。

俺も、とあることを考えていた。





それは、直之を呼ぶこと。






円香はすぐさま賛成したけど

早苗は露骨に嫌そうな顔をした。




「大丈夫、大丈夫!

あいつ女の子慣れしてるし、

ノリがいいからさ」


「ノリいい人大賛成!!

ねっ、ねっ、ナエちゃん〜!」





あんまりしつこく2人で粘るので

早苗も観念したのか、最後には

ため息交じりに「分かったわよ」と言った。




思わず円香とハイタッチ。




そこで円香とは別れ、

早苗の休みと直之が来る日を調整して

キャンプの日取りを考えることになった。





俺もばあちゃん家に帰ってすぐ

直之に連絡を入れる。

直之はすぐ「行く行く!」と

ノってくれたから、あとは

早苗の休みを取るだけだった。